運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 思わず答えると、男性は柔らかな笑みを浮かべ、丁寧に頭を下げた。琴音に頼まれたスタッフなのだろうか。
「どうぞ、ご案内します」
「いえ、ここで品物だけ……」
 そう伝えたが、男性は「どうぞ」とだけ言って店の扉を開けた。

 中へ足を踏み入れると、そこには洗練されたインテリアが広がっていた。
 照明はやや落とされ、重厚な木製の家具と、落ち着いた色合いのソファが並ぶ。
 個室風のレイアウトになっており、お忍びで訪れる芸能人や著名人も多いのだろう――プライバシーが徹底して守られている、そんな空間だった。
「こちらでお待ちください」
 案内されたのは、半個室のようなソファ席。低いテーブルを挟み、両側に大きなソファが向かい合っていた。私はそっと腰を下ろし、辺りを見渡した。
 そのときだった。
「ここ?」
 どこか低く、ざらついた声が耳に届き、私は思わず入口の方に視線を向けた。
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