運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 虐げられていることや、家を守りたいという思い、さきほどの出来事――語ろうと思えばいくらでも言葉はあった。けれど、それを彼に話せるような関係では、今の私たちはなかった。ただ、今はあのころに願った彼との食事の時間を過ごせている。それだけでいいのだと、そう思い直すと私は笑顔を作った。

「そういう理由で行けなくなったので、優希くんは何もしていません。安心してください」
 そう伝えると、優希くんは小さくうなずいた。

 それから、テーブルには次々と料理が並び、シャンパンやワインも運ばれてきた。朝も昼も琴音のせいでほとんど口にできず、空腹のせいもあって、どれもひときわおいしく感じる。

 ――さきほどの出来事も忘れたい。明日からのことも考えたくない。せっかく夢がかなったのだから、今だけは楽しみたい。そう思って任せた心がいけなかったのだ。
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