運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 そう答えると、琴音は傍らにあった花瓶を掴み、水を私に浴びせかけた。冷たい雫が髪を伝い、服にしみ込んでいく。

「朝倉さんは渡米する前に結婚する必要があるって話だったのよ! ようやくチャンスが来たのに、それなのにどうしてあんたが会ってるのよ!」
 仕事上、渡米の折に妻がいた方がいいというのはよくある話だ。優希くんが本当に相手を探していたのだとしたら――その事実に、胸の奥がわずかに揺れた。

 でも、彼は私と約束をしてくれている。たとえそれが遊びだとしても、私はこんなところで琴音に構っている暇はない。優希くんは、きっと待っている。
「どいて。私は行かなきゃいけないの」
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