運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
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ひと目見た瞬間に、すぐに誰かがわかった。そのことに、自分でも驚いていた。
朝倉という家に生まれた以上、完璧でなければならない。家に帰れば家庭教師、マナーの講師。父はもちろん、祖父のもとでの厳しい勉強。スポーツに芸術に社交――すべてをこなすことを求められる日々を過ごしてきた。
そんな俺にとって、唯一「ひとりになれる」と感じられた時間があった。そこに現れたのが、晴香だった。静かに勉強をしているだけなのに、わからないところがあるのか表情をころころと変える。そんな彼女を見ていると、気づけば自分が笑っていた。
話してみたい――。そう思ったのは、あれが初めてだった。肩書きのせいでいつも仮面を被った人間としか接してこなかった俺にとって、彼女だけが本音を隠さない存在だったからだ。思い切って声をかけ、少しずつ言葉を交わすようになった。
毎週水曜日、たった三時間だけ。それでも俺にとっては十分だった。時間が経つにつれ、彼女が自分の中で特別な存在になるのに、それほど長い時間はかからなかったと思う。