私と彼と彼のアンドロイド
「音緒?」
 けげんな声にハッとすると、希世が心配そうに自分を見ていた。

「ぼうっとしてどうしたの?」
「今晩のメニューを考えてたの」
 慌てて誤魔化すと、

「主婦かよ!」
 大翔に笑われ、

「主婦ですけど」
 音緒はむっとした。

「大学生で主婦かあ。考えらんないな。描く時間がなくなっちゃう。でも音緒はバイトしてないからいいのか」
「本当はしたいの」

「俺のバ先のカフェはどうよ。募集してるよ」
「お小遣いあげるって言われて光稀さんに許してもらえないんです」

「大学生にもなって許可なんているか?」
「でもいっつも子ども扱いで、この前なんて缶チューハイとりあげられたんですよ」
 だん、と机を叩く音緒に、希世は目を丸くして彼女を見た。

「もう二十歳超えてるよね?」
「なのに車の運転もさせてもらえないの。免許はあるのに」

「でもそうやって制約されるのが嬉しかったりして」
 希世にタッチペンを向けられ、どきっとした。

「図星かよ」
 大翔に突っ込まれ、音緒は少し照れて目を伏せた。

「大事にされてる、とは思いますから」
 制限が嬉しい瞬間があるのも確かだ。が、大人に見てもらえない悲しさもあって切ない。
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