「帰りたくないんだろ」~好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!~
 再び微笑んで寺西は昼食の乗ったトレイを榎原の正面の席に置く。道林なんて寺西の昼食を覗きこんで、げ、小食ですねー寺西さーん、なんて言ってる。
「食べ過ぎると太っちゃうもん」と寺西は笑う。

 誰だってそうだ。

 突っ込んでいいのか疑問に思っているうちに、寺西は、ミニカレーうどんを食べ始めた。器がご飯茶碗くらいの大きさで、道林が食べたほうとううどんの三分の一の量しかなさそうだ。

 初めて寺西に会ったとき、リカちゃん人形みたいだと思った。

 とにかく、美しい。

 そして小柄。

 白のタイトスカートのスーツなんかコスプレみたく似合っていた。

「忙しそうですね、寺西さん……」彼女は腕時計を見た。十二時三十五分。昼休みは残り十五分。

 ここから七階に戻る時間。歯磨き。化粧直し。

 ……等等を済ませるにはタイトな残り時間だ。彼女は既に昼食を済ませている。ここから寺西との交流をどの程度進めよう。

「うん、まあ……」彼女の胸中察してか。寺西は、髪を耳にかけ、うどんをひたすら啜る。「結構帰り遅いの」
「何時くらいですか」道林はつけ爪をいじり始める始末。
「昨日は、二十三時だったわ」
「げ。うげ」と反応した道林は、四月に入社したばかりで、プロジェクトに配属されていない。
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