「帰りたくないんだろ」~好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!~
 ゆえに知らないのだ。

 プロジェクトの地獄を。

 いつも花をしょってるような華やかな寺西だが、こころもち疲れているように見える。それを榎原は見逃していなかった。だからこその『忙しそうですね』だ。なにも理由は十二時三十五分にランチを開始したことに限られない。

 やってもやっても終わらない修正。
 ひっきりなしに届く障害票の山。
 永遠に続くかに思われるプログラム開発。
 納期の迫った案件、スキル不足の面々で乗り切らねばならぬ悲愴。

 宗方とは、第三事業部の部長のことで、寺西は宗方のサポート業務や事業部の事務全般を担当していた。
 元々事務専門で採用されたが、四月から大規模なプロジェクトが稼働しており、本人の意向もあって、寺西はそのプロジェクトメンバーの一員となった。
 事務を他の者ができないというリスクを回避するため、よって、榎原は寺西の仕事を引き継ぐこととなった。つまり、事業部の事務プラス蒔田のサポートを担当している。
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