「帰りたくないんだろ」~好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!~
「あ、え、でもあたしお金が」
「おれが出す」
「いっ……」ここは新橋。家までだと五千円はかかるだろうか。
入社二年目の会社員にとって決して安くはない金額だ。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
「待たねえ」
思いのほか子どもっぽい言い方で、いたずらに笑う。
それに見惚れて、彼女は出遅れた。
見惚れている場合ではない。
肘を掴んだまま颯爽と蒔田が歩き出すではないか。
彼女は、引き留めるべく絞りだすように声を張った。
「と。とにかくっ、もうちょっとスピード落としてくださいよっ! あたし蒔田さんとならどこだって行きますからっ!」
金曜日。新橋界隈。
どうにも視線を集めると思ったら、いかがわしい建物の前だった。
咳払いをし、俯き、彼女は、歩こうとする。が、……
「っつ……」
「どうした」
蒔田が振り向いたが、彼女は首を振って答えた。「なんでもないです」
「なんでもないという顔ではない。足が痛むのか。見せろ」
「い、え……」
彼女は、咄嗟に右足を引いたつもりが、ますます痛みが増し顔をしかめた。
「おれが出す」
「いっ……」ここは新橋。家までだと五千円はかかるだろうか。
入社二年目の会社員にとって決して安くはない金額だ。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
「待たねえ」
思いのほか子どもっぽい言い方で、いたずらに笑う。
それに見惚れて、彼女は出遅れた。
見惚れている場合ではない。
肘を掴んだまま颯爽と蒔田が歩き出すではないか。
彼女は、引き留めるべく絞りだすように声を張った。
「と。とにかくっ、もうちょっとスピード落としてくださいよっ! あたし蒔田さんとならどこだって行きますからっ!」
金曜日。新橋界隈。
どうにも視線を集めると思ったら、いかがわしい建物の前だった。
咳払いをし、俯き、彼女は、歩こうとする。が、……
「っつ……」
「どうした」
蒔田が振り向いたが、彼女は首を振って答えた。「なんでもないです」
「なんでもないという顔ではない。足が痛むのか。見せろ」
「い、え……」
彼女は、咄嗟に右足を引いたつもりが、ますます痛みが増し顔をしかめた。