「帰りたくないんだろ」~好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!~
 彼女は小さく首を振る。長い髪が揺れた。「あのね。……あなたたち二人が選ぶって言うのは、そういうことなの。お互いがお互いを選ぶっていうことがどういう意味だか、分かるよね?」
「紘花ぁ……」とうとう涙がこぼれ落ちた。
 裏切った人間に同情されているという現実に、情けなくなった。

 彼女は、その思いを振り切るようにして席を立つ。

「それじゃあ、末永くお幸せに」

「紘花。 待ってよ紘花!」

 彼女は親友の言葉を無視した。

 待って欲しいのは、こっちだ……。

 入り口でドアを開く際、彼らのほうを見た。彼が、俯き号泣する彼女の肩を抱く構図。
 あれぞ、一般的な彼氏彼女というもの。

 冷ややかな気持ちを伴い、彼女はそのカフェを去った。

 

 家に帰ってからも気持ちの整理がつかなかった。

 南雲(なぐも)知奈とは、大学に入学した頃からの友達だ。

 彼女は、大学に入りたての頃、どうやって友達を作ったらいいか、分からなかった。

 初めての授業で誰にも声もかけられず、戸惑っていた彼女の隣の席に座ったのが、南雲知奈だ。

『ここ、空いてる?』
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