嗚呼、愛しの婚約者様


 目を開くと、見覚えのある天井が視界に映った。幼少の頃から毎日のように見てきた天井に、私は我が家にいるのだと察しがつく。
 起き上がろうとしてみるけれど、体が動かない。自身が今どんな状態なのかを少しでも確認しようと無理やりに体を捻ると、足に強い痛みが走った。
 体を起こして痛みの方へ視線をやると、右足に過剰なほどの包帯が巻かれていることに気付く。

 あぁ、やった……やったわ!!
 成功した……!!

 あまりの嬉しさに思わず笑い声を上げると、私専属の使用人が部屋の中へ入って来た。使用人は私の目が覚めていることに気付くと、忽ち大声で「お嬢様がお目覚めです!」と家の者を呼びに行った。

 大きな足音を立てて私の部屋にやってきたお父様やお母様、そしてお兄様が一斉に私を抱き締める。涙しながら「生きていてよかった」と告げられ、家族からの愛に私は胸が熱くなるのを感じた。

< 16 / 42 >

この作品をシェア

pagetop