治療不可能な恋をした

それからの理人は、ますます派手な交友関係に身を投じた。

表向きは相変わらず明るく社交的で、誰とでも気さくに飲みに行き、女遊びも気まぐれに繰り返す。

ただの同期、ただの同業者、ただの飲み友達──
誰とも深く関わらず、誰にも深入りさせず。そんな表面だけの関係ばかりを重ねていった。

気づけば、そうすることでしか自分を保てなくなっていた。

忘れたつもりでいた。とっくに、終わったことだと割り切ったつもりでいた。

なのに。

──あの朝の記憶だけは、いつまでも曖昧になることはなかった。



それから数年後。
理人のもとに転院の話が舞い込んできた。

提示された病院の名前を見たとき、ふと脳裏にある人物の顔が浮かんだ。

(たしか、仁科の……)

共通の知り合いを通じて聞いたことのある、その大学病院だった。

理人は迷わずその話を受けた。

あのとき途切れた何かを取り戻せるのではと、心の奥が震えた。
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