治療不可能な恋をした
理人はパソコンを操作しながら、いくつかの候補地をすぐに検索して見せてくる。
「この辺りなら車で二時間くらいだし、景色も良さそうだ」
梨乃は思わず身を乗り出して画面を覗き込む。そこには鮮やかな紅葉の写真が並んでいた。
「わあ……綺麗だね」
梨乃の頬が自然に緩むのを見て、理人の口元もふっと微笑む。
「なら宿はここにするか」
そう言って理人がマウスを操作して表示させたのは、見晴らしの良いテラス付きのホテルの写真だった。
建物の外観からして落ち着いた雰囲気で、どこか格式の高さを感じさせる。
「え、ここ?……なんだか高そうじゃない?」
思わず声が漏れた梨乃に、理人はあっけらかんと肩をすくめた。
「初めての旅行なんだから、ちょっとくらい浮かれてもいいだろ?」
さらりと口にされるその一言に、梨乃の胸がきゅっと縮む。
(ずるいなあ。そんな言い方されたら、断れないじゃない)
「せっかくだし、部屋からでも紅葉が眺められるところにしよう。朝起きて窓から絶景が見れたら、きっと最高だ」
理人が楽しそうに画面を操作していく姿を横で眺めながら、梨乃の胸の内にも少しずつ期待が膨らんでいく。