治療不可能な恋をした
ドレスのファスナーが、ゆっくりと下ろされる。
背中に沿って滑っていく指先はまるで何かを確かめるように慎重で、そのたびに梨乃の身体が小さく震えた。
空気に晒された肩口に、理人の吐息がかかる。微かに触れただけなのに、そこが熱を持つ。
理人の手がドレスの肩紐をそっと落とすと、淡い布地が滑り落ちて、梨乃の体から音もなく離れていった。
(また…流されてしまう)
心のどこかでそう思いながらも、拒むことはできなかった。
理人がそっと頬にキスを落とす。首筋へ、鎖骨へ、静かに、愛おしむように。
(……勘違い、してしまいそう)
こんなふうにされたら、無駄に期待してしまう。
胸元に手が伸びる。ブラのホックが外され、肩越しにそっと滑り落ちた。
「仁科、口あけて」
その一言に、思わず目を見開いた。
けれど、理人の声は驚くほど優しくて、思わず身をゆだねたくなるような甘さを孕んでいた。
戸惑いながらも、梨乃はゆっくりと唇を開く。すぐに、理人の唇が重なった。
初めはそっと触れるだけだったのに、徐々に深くなっていくキスに、身体の芯が熱を帯びていく。
唇の内側をなぞるように舌が滑り込み、理人の手が再び梨乃の頬に触れる。その熱が、皮膚を通して心にまで染み込んでくる。