治療不可能な恋をした

意味を理解した瞬間、梨乃は反射的に首を振っていた。羞恥と動揺が押し寄せ、否定の言葉はどうしても口にできなかった。

「……そっか」

理人はそれ以上何も言わず、どこか安堵したように微かに笑って、そのまま指を、ゆっくりと奥へ埋めていく。

最初は痛みと違和感に眉を寄せた梨乃だったが、
探るように繊細に動くその手つきに、やがて漏れ出す吐息は、甘く熱を帯びたものへと変わっていった。

「んっ、ん……や…っ」

指が奥を撫でるたび、もう片方の手が胸元を優しく転がすたび、びりびりとした痺れが全身に広がっていく。

オペのとき、患者の命を預かるその手が今は自分の身体に触れている──

そう思った瞬間、なぜか逃げ出したくなる気持ちにかられた。

けれど、梨乃の小柄な身体を包むように重なる理人の体温は、逃げる隙すら与えてくれなかった。

「……仁科」

甘く、低く名前を呼ばれるたび、その声にさえ心をほどかれていく。
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