破滅ルートを辿る和風シンデレラストーリーの悪役令嬢(義妹)なのに、ヒーローから溺愛されている件について
8話 なにがどうして、こうなった⁉
「小百合さんに、気を遣わせてしまったようです……」
小百合が消えた襖の方をしばしの間呆然と見つめていた私は、亜蘭さまの声で我に返り、仕方なく香代子のいなくなった座布団の所に座りなおした。卓の上の湯呑からやわらかな湯気が立ち上るのをなんとなく見つめる。
小百合が、誰になんの気を遣ったというのか……。
分からないけど尋ねる気も起きず、私は本来の目的を果たそうと外套を卓の上に置いて亜蘭さまに返した。
「あの、こちら、ありがとうございました」
縁側で昼寝なんて怠惰な行いを知られたどころか、寝顔まで晒してしまったと思うと本当に恥ずかしい。
しかも好きな人に。
望みはないし、自らも断ち切ったのだけれど、それでもやっぱりダメージは大きい。
「もう九月も下旬ですし、風邪をひくかもしれないから起こそうと思ったんですが、とても気持ちよさそうに眠っていて起こせませんでした」
うわぁ……めちゃくちゃばっちり見られてるじゃない……。
火を噴いてしまいそうなくらい熱くなった顔をうつむけて、現実を直視できない私は目をぎゅっと閉じた。
「お、おかげで寒くありませんでした……。そ、その、中庭に寄られたのは、なにか御用でもあったのでしょうか?」
用もないのにわざわざ中庭まで足を運ぶなんてやっぱり変だと思いそう尋ねるが、亜蘭さまは「いいえ」と否定した。
「では、どうして……」と私の口から零れた疑問に、彼は少しの間思案して、ふと何かを思い出したかのように言った。
「実は、俺も猫に目がないんです」
「はい?」
「ですが、我が家は母が少々潔癖気味なので飼えなくてですね……。その、小百合さんがむぎ太郎さんと戯れているのを見て、俺も撫でてみたいなと。……なので、時折、むぎ太郎さんと小百合さんに会いに来てはいけませんか?」
「え……」
亜蘭さまがまさかの猫好き⁉
なにそれ、可愛い……!
イケメンと猫なんて、そんな絵面美味しすぎるんだけど……、けど……。
この前の香代子の足捻挫事件のこともあって、私は悩んだ。結果的に誤解は解けたからよかったものの、もしまたあのような事件が起こっては亜蘭さまからの怒りを買って、破滅ルートまっしぐらにもなりかねない。
でも……、猫が好きなのに触る機会がなくて悲しいっていう気持ちは、同じ猫好きとしては痛いほどわかる……。
真剣に頼まれてしまい、断るのも気が引けて私は仕方なく「わかりました」とその申し出を承諾してしまった。
まぁ、亜蘭さまの目的は猫だし、私が出しゃばらなければ大丈夫なはず。
「小百合さんに、気を遣わせてしまったようです……」
小百合が消えた襖の方をしばしの間呆然と見つめていた私は、亜蘭さまの声で我に返り、仕方なく香代子のいなくなった座布団の所に座りなおした。卓の上の湯呑からやわらかな湯気が立ち上るのをなんとなく見つめる。
小百合が、誰になんの気を遣ったというのか……。
分からないけど尋ねる気も起きず、私は本来の目的を果たそうと外套を卓の上に置いて亜蘭さまに返した。
「あの、こちら、ありがとうございました」
縁側で昼寝なんて怠惰な行いを知られたどころか、寝顔まで晒してしまったと思うと本当に恥ずかしい。
しかも好きな人に。
望みはないし、自らも断ち切ったのだけれど、それでもやっぱりダメージは大きい。
「もう九月も下旬ですし、風邪をひくかもしれないから起こそうと思ったんですが、とても気持ちよさそうに眠っていて起こせませんでした」
うわぁ……めちゃくちゃばっちり見られてるじゃない……。
火を噴いてしまいそうなくらい熱くなった顔をうつむけて、現実を直視できない私は目をぎゅっと閉じた。
「お、おかげで寒くありませんでした……。そ、その、中庭に寄られたのは、なにか御用でもあったのでしょうか?」
用もないのにわざわざ中庭まで足を運ぶなんてやっぱり変だと思いそう尋ねるが、亜蘭さまは「いいえ」と否定した。
「では、どうして……」と私の口から零れた疑問に、彼は少しの間思案して、ふと何かを思い出したかのように言った。
「実は、俺も猫に目がないんです」
「はい?」
「ですが、我が家は母が少々潔癖気味なので飼えなくてですね……。その、小百合さんがむぎ太郎さんと戯れているのを見て、俺も撫でてみたいなと。……なので、時折、むぎ太郎さんと小百合さんに会いに来てはいけませんか?」
「え……」
亜蘭さまがまさかの猫好き⁉
なにそれ、可愛い……!
イケメンと猫なんて、そんな絵面美味しすぎるんだけど……、けど……。
この前の香代子の足捻挫事件のこともあって、私は悩んだ。結果的に誤解は解けたからよかったものの、もしまたあのような事件が起こっては亜蘭さまからの怒りを買って、破滅ルートまっしぐらにもなりかねない。
でも……、猫が好きなのに触る機会がなくて悲しいっていう気持ちは、同じ猫好きとしては痛いほどわかる……。
真剣に頼まれてしまい、断るのも気が引けて私は仕方なく「わかりました」とその申し出を承諾してしまった。
まぁ、亜蘭さまの目的は猫だし、私が出しゃばらなければ大丈夫なはず。