破滅ルートを辿る和風シンデレラストーリーの悪役令嬢(義妹)なのに、ヒーローから溺愛されている件について
11話 いい加減うんざりしてきたところなんですよ
亜蘭さまの運転する自動車に乗って香代子のいる病院を訪れると、予想外に笑顔の香代子に出迎えられた。
「香代子さん」
「小百合さん、元気そうでよかったです……!」
それは、こっちのセリフなんですけど……。と、呆れてしまいそうなくらい、香代子は顔色もよく溌剌としていて、私は肩透かしを食らう。
「私のせいで散々な目に遭われて……本当に大変でしたね」
ベッドに近寄ると、彼女は私の両手を握ってそんな労いの言葉を掛けてくれた。
だからそれもこっちのセリフだと言ってしまいそうなのを飲み込んで、私もその手を握り返す。
「もう、体は大丈夫なんですか?」
「えぇ、すっかり! 毒も少量だったのと処置が早かったおかげでこの通りです。ご心配をおかけしました」
「よかったです、本当に……」
元気な香代子の姿を見たら、涙腺が緩んで涙が滲んだ。
「志藤先生も、ご尽力ありがとうございました。本当になんとお礼を申し上げたらよいか。父も恐縮しておりました」
「お礼など必要ありません。この事態を招いてしまったのは、全て私の責任です、香代子さ――」
「「それは違います!」」
私と香代子の声が重なり、私たちはお互いに見つめ合った後、またしても同時に声を上げて笑った。
「さすが、姉妹でいらっしゃる」
亜蘭さまも二人から否定されて、気まずそうに頭をかいた。
「それで小百合さん、志藤先生のこと、下のお名前で呼んで差し上げましたかしら?」
「か、香代子さん? なにを言って……」
「先生ってば、『小百合さんが名前で呼んでくれないんです』『どうしたら前のように呼んでもらえると思いますか?』って会えばそんな話ばっかりで、私もいい加減うんざりしてきたところなんですよ」
「か、香代子さん……!」
慌てた声に後ろを振り向くと、耳まで真っ赤にした亜蘭さまと目が合う。だけど彼は、気まずそうにゆがめた口元を手で覆って顔をそむけてしまった。まるで、その話が真実で恥ずかしがっているように見える。
え、え、え?
私の知らないところで、二人はそんな話をしていたの……?
名前で呼んでほしいっていうのは、単に未来の義妹と仲良くしておきたいだけの口実で、香代子さんと亜蘭さまは両想いなんじゃないの?
理解が追い付かないまま香代子へと視線を戻し、私は我慢できずに彼女の耳に顔を寄せた。
亜蘭さまの運転する自動車に乗って香代子のいる病院を訪れると、予想外に笑顔の香代子に出迎えられた。
「香代子さん」
「小百合さん、元気そうでよかったです……!」
それは、こっちのセリフなんですけど……。と、呆れてしまいそうなくらい、香代子は顔色もよく溌剌としていて、私は肩透かしを食らう。
「私のせいで散々な目に遭われて……本当に大変でしたね」
ベッドに近寄ると、彼女は私の両手を握ってそんな労いの言葉を掛けてくれた。
だからそれもこっちのセリフだと言ってしまいそうなのを飲み込んで、私もその手を握り返す。
「もう、体は大丈夫なんですか?」
「えぇ、すっかり! 毒も少量だったのと処置が早かったおかげでこの通りです。ご心配をおかけしました」
「よかったです、本当に……」
元気な香代子の姿を見たら、涙腺が緩んで涙が滲んだ。
「志藤先生も、ご尽力ありがとうございました。本当になんとお礼を申し上げたらよいか。父も恐縮しておりました」
「お礼など必要ありません。この事態を招いてしまったのは、全て私の責任です、香代子さ――」
「「それは違います!」」
私と香代子の声が重なり、私たちはお互いに見つめ合った後、またしても同時に声を上げて笑った。
「さすが、姉妹でいらっしゃる」
亜蘭さまも二人から否定されて、気まずそうに頭をかいた。
「それで小百合さん、志藤先生のこと、下のお名前で呼んで差し上げましたかしら?」
「か、香代子さん? なにを言って……」
「先生ってば、『小百合さんが名前で呼んでくれないんです』『どうしたら前のように呼んでもらえると思いますか?』って会えばそんな話ばっかりで、私もいい加減うんざりしてきたところなんですよ」
「か、香代子さん……!」
慌てた声に後ろを振り向くと、耳まで真っ赤にした亜蘭さまと目が合う。だけど彼は、気まずそうにゆがめた口元を手で覆って顔をそむけてしまった。まるで、その話が真実で恥ずかしがっているように見える。
え、え、え?
私の知らないところで、二人はそんな話をしていたの……?
名前で呼んでほしいっていうのは、単に未来の義妹と仲良くしておきたいだけの口実で、香代子さんと亜蘭さまは両想いなんじゃないの?
理解が追い付かないまま香代子へと視線を戻し、私は我慢できずに彼女の耳に顔を寄せた。