破滅ルートを辿る和風シンデレラストーリーの悪役令嬢(義妹)なのに、ヒーローから溺愛されている件について
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
濃紺のセーラーカラーの制服に身を包んだ女学生達が行き交う中、私と香代子は笑顔ですれ違う生徒と挨拶を交わしながら連れ立って教室へと向かう。
室内にいた学友たちがぎょっとした顔を向けてきた。これまで一言もしゃべらずに香代子が私の一歩後ろを無言でついてくるだけだったのに、会話どころか笑いあっている姿に驚きを隠せない様子だった。
私の仲のいい学友が数人駆け寄ってくる。仲がいいと言ってもうわべだけで、結局は私の侯爵という家柄に媚びへつらっているだけの仲。
「みなさん、ごきげんよう」
「ご、ごきげんよう、小百合さん……と香代子さんも」
「ごきげんよう」
戸惑う取り巻きの横を通り過ぎて、私たちは自席へと座る。前の席の香代子に他愛のない会話を投げかけながら、私は始業を待った。その間も、周囲からの奇異な目が刺さるが気にせず過ごした。
「――香代子さん、ちょっといいかしら……」
休憩時間に同じ組の生徒が香代子に声を掛けてきた。確か彼女は香代子と仲のいい直子だ。彼女は私を気にしつつ、香代子の腕を引いて教室の外へと出ていった。
彼女は、医者の父を持つが、香代子と同じ庶子ということもあって優しく接してくれる唯一の人だ。原作の中でもいつもいじめられる香代子に寄り添って慰めていて、いい子だなぁと思ったのを覚えている。
きっと、私の態度の変わり様についていろいろと思うところがあるのだと思う。
「小百合さん」
すると香代子がいなくなるのを見計らったように、今度は取り巻きたちがやってきた。
みんな気になって仕方ないんだろうなぁ。
ちょっと面白くなってしまう。
「なんでしょう」
「急に香代子さんと仲良くなって、なにかあったのですか?」
正直、どう言えばいいのか、私にもわからなくて私は首をひねる。
前世の記憶を思い出して、このまま香代子をいじめていると私は死ぬ運命だと知ったから優しくすることにしたの。
とぶちまけてしまいたいのを抑えて、私は「そうね」と考えるそぶりを見せてから口を開いた。
「つい先日、私、突然倒れたんですのよ……。そしたらなんだか憑き物が落ちたみたいに、気持ちが軽くなって……。もう香代子さんにいじわるする気にもならなくなったんですの」
不思議ですわよねぇ、と付け加えて。
だけど、これも本心だ。時代特有の価値観に捉われない前世の私には、心の美しい香代子をいじめようだなんてこれっぽっちも思わない。いじめろと言われたってお断りだ。
「そ、そうでしたか……」
「今まで香代子さんにつらく当たってた分、これからは彼女を支えていきたいって思ってますの」
「まぁ! そんな小百合さんも素敵ですわ!」
「そうでしょう? ですからみなさんも香代子さんには優しくしてあげてくださると嬉しいわ」
「もちろんです!」
従順な取り巻きたちに私は内心で「チョロいわね」とつぶやきつつ、にっこりと笑顔を返しておく。
女学校も難なくクリア。
これで残る不安要素はただ一人、亜蘭さまだけとなった。
「ごきげんよう」
濃紺のセーラーカラーの制服に身を包んだ女学生達が行き交う中、私と香代子は笑顔ですれ違う生徒と挨拶を交わしながら連れ立って教室へと向かう。
室内にいた学友たちがぎょっとした顔を向けてきた。これまで一言もしゃべらずに香代子が私の一歩後ろを無言でついてくるだけだったのに、会話どころか笑いあっている姿に驚きを隠せない様子だった。
私の仲のいい学友が数人駆け寄ってくる。仲がいいと言ってもうわべだけで、結局は私の侯爵という家柄に媚びへつらっているだけの仲。
「みなさん、ごきげんよう」
「ご、ごきげんよう、小百合さん……と香代子さんも」
「ごきげんよう」
戸惑う取り巻きの横を通り過ぎて、私たちは自席へと座る。前の席の香代子に他愛のない会話を投げかけながら、私は始業を待った。その間も、周囲からの奇異な目が刺さるが気にせず過ごした。
「――香代子さん、ちょっといいかしら……」
休憩時間に同じ組の生徒が香代子に声を掛けてきた。確か彼女は香代子と仲のいい直子だ。彼女は私を気にしつつ、香代子の腕を引いて教室の外へと出ていった。
彼女は、医者の父を持つが、香代子と同じ庶子ということもあって優しく接してくれる唯一の人だ。原作の中でもいつもいじめられる香代子に寄り添って慰めていて、いい子だなぁと思ったのを覚えている。
きっと、私の態度の変わり様についていろいろと思うところがあるのだと思う。
「小百合さん」
すると香代子がいなくなるのを見計らったように、今度は取り巻きたちがやってきた。
みんな気になって仕方ないんだろうなぁ。
ちょっと面白くなってしまう。
「なんでしょう」
「急に香代子さんと仲良くなって、なにかあったのですか?」
正直、どう言えばいいのか、私にもわからなくて私は首をひねる。
前世の記憶を思い出して、このまま香代子をいじめていると私は死ぬ運命だと知ったから優しくすることにしたの。
とぶちまけてしまいたいのを抑えて、私は「そうね」と考えるそぶりを見せてから口を開いた。
「つい先日、私、突然倒れたんですのよ……。そしたらなんだか憑き物が落ちたみたいに、気持ちが軽くなって……。もう香代子さんにいじわるする気にもならなくなったんですの」
不思議ですわよねぇ、と付け加えて。
だけど、これも本心だ。時代特有の価値観に捉われない前世の私には、心の美しい香代子をいじめようだなんてこれっぽっちも思わない。いじめろと言われたってお断りだ。
「そ、そうでしたか……」
「今まで香代子さんにつらく当たってた分、これからは彼女を支えていきたいって思ってますの」
「まぁ! そんな小百合さんも素敵ですわ!」
「そうでしょう? ですからみなさんも香代子さんには優しくしてあげてくださると嬉しいわ」
「もちろんです!」
従順な取り巻きたちに私は内心で「チョロいわね」とつぶやきつつ、にっこりと笑顔を返しておく。
女学校も難なくクリア。
これで残る不安要素はただ一人、亜蘭さまだけとなった。