完璧すぎる淑女は「可愛げがない」という理由で婚約破棄されました。 ~元聖女ですが、古代魔術まで極めてみました~
 ローブを纏った2人は、隕石の降り注ぐ天に向かって真っすぐ手を伸ばした。

 その瞬間、光の塊と美しい泡が一切に広がる。それは時折弾け、生き物の怪我を治し、地面を補強し、人々を守り続ける。隕石も打ち砕き、その被害を無にする。砕かれた隕石の破片さえも、光の粒子に変わっていく。

 人々がその奇跡のような光景に見惚れている内に、大災害はあっという間に終息し、王都には静けさが戻った。

 アルフォンスは、ただ呆然と、エメラルダとアルベルトの偉業を見ていた。かつて自分が「可愛げがない」と言い放った女性が、国を救ったのだ。


「エメラルダ、?」
 
 アルフォンスの言葉は、小さく小さく零れ落ちた。フードが取れ、彼女の素顔が露わになる。名前を呼ばれたエメラルダは、そっとアルフォンスに近づいた。

「お久しぶりです」

 エメラルダの瞳は、静かな光を宿している。

「エメラルダ……!なぜ、ここに?もしかして、僕のことが、」
「いい加減にしてください」

 エメラルダはそれはそれは綺麗な笑顔で、伸ばされた手を勢いよく叩き落とした。

「元婚約者といえど、今では無関係の身。無遠慮に触れようとするなど、虫唾が走ります」
「えめ、らるだ、?」
「その愚かな口をさっさと閉じて、少しでも国民のために動いてください」
「な、」
 
 
 「おーおー。よく言った。スカッとしたわ~」

 
 アルベルトは楽しげに笑いながら、自らフードを外す。その瞬間、現国王が驚いたように声を発した。
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