隠れ才女な転生王女、本日も王宮でお務めです~人質だけど、冷徹お兄さんと薬草知識でみんなを救っちゃいます~
1-4
「よく来たな」
私達に向かってそう口にするのは、ガントリオ・ステリクア。この国の国王陛下だ。
金色の美しい髪と、瞳を持つ。何だか威圧的だわ。私は特に気にならないけれども、キーシア達が怯えた様子を見せている。
男の人が何気なく話していても、私達子供からしてみればずっと大きい人で、怖いと思うのは当然だ。
私も前世の記憶やお母様からの教えがなかったら、怯えてしまっていたかも。そう思うとお母様に感謝だわ!
「ヘーゼリア・リーテンダといいます。国王陛下にお目に掛かることが出来て嬉しいです。お手紙も送らせていただきましたが、素敵なお部屋をありがとうございます!」
他の子達が動けないというのは、様子を見ていて分かった。
だから私は率先して挨拶をする。なるべく愛らしく見えるように心がける。まだ幼い少女が一生懸命挨拶をしている様子は目を引くはずなの。
これで国王陛下から気に入ってもらえたら、これからの私の未来は輝かしいものになるはず。
「ああ。君か。私に手紙をくれたのは。最近の暮らしはどうだ? 不便なことはないだろうか」
にこりと笑うこともない。だけれどもその言葉は明確に私のことを心配していた。敵対する国々からは恐れられている人らしいけれども、子供には優しい人なのかも。私がもっと大人だったら警戒されて、冷たくされたのかなと思うと子供で良かったなとそんな感情を抱いた。
「はい。陛下のおかげで楽しく過ごさせていただいておりますわ! ね、皆様」
私はそう言って、無邪気に笑うとキーシア達に話しかける。私ばかりが目立って、陛下が他の子達のことを目にかけないなんていうのは嫌だもの。私はそんな風に思う。
というか、私だけが陛下と仲良くしたって意味がないわ。
そんなことをしたら周りと軋轢が生じてしまう可能性も十分ある。私は皆と仲良くなりたいのだから、きちんとしないとね。
「は、はい。私も陛下のおかげで問題なく過ごせております」
「ぼ、僕も……」
キーシアとオゼダディがそう言うのを区切りに他の子たちも、声をあげてくれた。良いことね。
私はそんなことを考えながら満足する。
皆が皆、この国で楽しく過ごすのが一番いい。私の手で出来ることがどれだけあるか分からないけれど、今のところは上手く出来ているけど、どうかなぁ。
私が他の人質の子達に言葉を促したりしている様子を陛下たちは見守ってくれている。特に制止の声がないのは、私のやることを許してくれているんだろうなと思うとほっとした。
そうじゃなかったら、もっと咎められているもの。そう考えると初対面は成功ね! そう思うと得意げに笑いそうになる。駄目だわ。下手ににやけてしまったら周りから怪訝に思われる。それに私は子供らしさも見せたいとは思うけれど、素の姿を見せるのって恥ずかしいから。
「それは良かった。何か困ったことがあれば言うといい」
陛下はそんな風に言ってくれた。
そのことが私は嬉しくなった。それから謁見の時間は終わって、私達はそのままそれぞれの部屋へと戻ることになる。
謁見の場を後にすると、キーシア達は緊張からか何人かへたり込みそうになっている子がいた。
陛下のことが怖かったのかも。
私は前世の記憶があったり、これまでの経験から先ほど会った陛下が恐ろしい方ではないことは分かる。寧ろ私達のことを労わって、気に掛けてくれている。
この子達がそれを理解出来るようになれればもっと笑ってくれるかな?
私はそんなことを考えながら子供達が落ち着くまで待った。しばらくしたら少し落ち着いた彼らの手を引いてその場を後にする。あまりにもこんなところでゆっくりしていたら、変に注目を浴びてしまうもんね。
まぁ、今の段階でも視線はそれなりに向けられているけれども。
その中でこちらを見ているローブを着た少年と目が遭った。長い前髪の奥から、赤い瞳が煌めいていた。その人はこちらを冷たく見ていたかと思えば、興味なさそうにそのまま去っていく。
あら、友好的じゃないのね。それにしても服装からして貴族とかそんな感じではないけれど、此処で働いているのだろうか? まだ若く見えるのになと少しだけ興味を持った。
私達に向かってそう口にするのは、ガントリオ・ステリクア。この国の国王陛下だ。
金色の美しい髪と、瞳を持つ。何だか威圧的だわ。私は特に気にならないけれども、キーシア達が怯えた様子を見せている。
男の人が何気なく話していても、私達子供からしてみればずっと大きい人で、怖いと思うのは当然だ。
私も前世の記憶やお母様からの教えがなかったら、怯えてしまっていたかも。そう思うとお母様に感謝だわ!
「ヘーゼリア・リーテンダといいます。国王陛下にお目に掛かることが出来て嬉しいです。お手紙も送らせていただきましたが、素敵なお部屋をありがとうございます!」
他の子達が動けないというのは、様子を見ていて分かった。
だから私は率先して挨拶をする。なるべく愛らしく見えるように心がける。まだ幼い少女が一生懸命挨拶をしている様子は目を引くはずなの。
これで国王陛下から気に入ってもらえたら、これからの私の未来は輝かしいものになるはず。
「ああ。君か。私に手紙をくれたのは。最近の暮らしはどうだ? 不便なことはないだろうか」
にこりと笑うこともない。だけれどもその言葉は明確に私のことを心配していた。敵対する国々からは恐れられている人らしいけれども、子供には優しい人なのかも。私がもっと大人だったら警戒されて、冷たくされたのかなと思うと子供で良かったなとそんな感情を抱いた。
「はい。陛下のおかげで楽しく過ごさせていただいておりますわ! ね、皆様」
私はそう言って、無邪気に笑うとキーシア達に話しかける。私ばかりが目立って、陛下が他の子達のことを目にかけないなんていうのは嫌だもの。私はそんな風に思う。
というか、私だけが陛下と仲良くしたって意味がないわ。
そんなことをしたら周りと軋轢が生じてしまう可能性も十分ある。私は皆と仲良くなりたいのだから、きちんとしないとね。
「は、はい。私も陛下のおかげで問題なく過ごせております」
「ぼ、僕も……」
キーシアとオゼダディがそう言うのを区切りに他の子たちも、声をあげてくれた。良いことね。
私はそんなことを考えながら満足する。
皆が皆、この国で楽しく過ごすのが一番いい。私の手で出来ることがどれだけあるか分からないけれど、今のところは上手く出来ているけど、どうかなぁ。
私が他の人質の子達に言葉を促したりしている様子を陛下たちは見守ってくれている。特に制止の声がないのは、私のやることを許してくれているんだろうなと思うとほっとした。
そうじゃなかったら、もっと咎められているもの。そう考えると初対面は成功ね! そう思うと得意げに笑いそうになる。駄目だわ。下手ににやけてしまったら周りから怪訝に思われる。それに私は子供らしさも見せたいとは思うけれど、素の姿を見せるのって恥ずかしいから。
「それは良かった。何か困ったことがあれば言うといい」
陛下はそんな風に言ってくれた。
そのことが私は嬉しくなった。それから謁見の時間は終わって、私達はそのままそれぞれの部屋へと戻ることになる。
謁見の場を後にすると、キーシア達は緊張からか何人かへたり込みそうになっている子がいた。
陛下のことが怖かったのかも。
私は前世の記憶があったり、これまでの経験から先ほど会った陛下が恐ろしい方ではないことは分かる。寧ろ私達のことを労わって、気に掛けてくれている。
この子達がそれを理解出来るようになれればもっと笑ってくれるかな?
私はそんなことを考えながら子供達が落ち着くまで待った。しばらくしたら少し落ち着いた彼らの手を引いてその場を後にする。あまりにもこんなところでゆっくりしていたら、変に注目を浴びてしまうもんね。
まぁ、今の段階でも視線はそれなりに向けられているけれども。
その中でこちらを見ているローブを着た少年と目が遭った。長い前髪の奥から、赤い瞳が煌めいていた。その人はこちらを冷たく見ていたかと思えば、興味なさそうにそのまま去っていく。
あら、友好的じゃないのね。それにしても服装からして貴族とかそんな感じではないけれど、此処で働いているのだろうか? まだ若く見えるのになと少しだけ興味を持った。