転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
「ラビッツの部屋は、俺の責任で全部綺麗にする。転移しよう。他人の考えた真実の愛なんて気にしなくていい」
「なんでそう言えるのよ。こんな姿なのに、なんで我慢できちゃうの」
「好きだからだ。嫌われたくない。これからずっと一緒にいるのに、ラビッツの意思を無視したくない」
「どうして――、私のことが好きなの」

 どうして???

「女性向けのゲームや小説はね、少し苦手なの。ヒロインは皆、素直で優しくて前向きで頑張り屋さんで。皆、そーゆー子が好きなんだなって。そんな子を応援したくなるんだなって」

 こ、この態勢で真面目な話をするのか!? よし、全力で耳を傾けよう。煩悩から意識を逸らそう。

「男性向けは女の子が都合よく扱われいることもあるけど、このメーカーの作るゲームは好きだった。ウジウジして後ろ向きで色々間違えちゃって素直になれなくて。そんな子もヒロインの一人として、愛されてた」
「ああ。俺はそんな子のが好きだな」
「この思念品のこと、言いたくなかったの。言ったら逆に来そう派と来ない派にメンバーは分かれてたけど……」

 誰がどっち派だ!?
 俺のいないところで、楽しそうなことを……!

「来たら困るけど、でも来なくても傷つく。私とその……望んでないのかなって」
「そんなことあるかよ。俺は今すぐ全部脱がせたい。本当に限界だ。ギリギリなんだ」
「もうっ」
「でも、大事なのはラビッツの意思だ」

 真っ直ぐに互いに見つめ合い、視線が絡まる。

「いつか、一緒に解呪しよう」
「え?」
「いつか、この思念品の願いを叶えてやろう。でも、今は転移しよう。いつかの日まで王宮に置いておこう。今じゃない。ラビッツの心が決まったらだ」
「…………」
「いつか、一緒にやらしいことをしよう」

 かっこ悪いよな。
 解決方法はラビッツの転移頼みだ。

「ほんとに、ムードづくりができなくて、おバカなことばっかり言う王子様なんだから」

 ラビッツがむくりと起き上がった。ビキニはもうネズミ人形に取られている。

「ラ、ラビッツ!? 見えてるけどぉぉおぉぉぉっ!?!?」
「……大好き」

 視界が遮られる。

 唇が触れた。柔らかな温かさに、痺れのような甘さが全身を駆け抜ける。呼吸が混じり合い、体温を感じ合う。熱い吐息に夢中になり、何もかも分からなくなって甘く溶けてしまうようで――。

 突然、浮遊感に全身が包まれた。
 ベッドが光になって消えていく。

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