転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
「私、あんたの婚約者でしょ?」
「あ、ああ」
「リュークとどうにかなるつもりはないし……」

 ないのか。そんな気はしていたけど。ルリアンに嫌がらせをしていないからな。

「家族からは絶対にあんたを逃すなって言われてるの」

 そうだな。だから、リュークと結ばれた場合、ゲームでは俺から婚約破棄をした。頭を冷やしてこいと少しの間、俺は追い出されるものの、王位の継承権は変わらない。それくらいで済むだろう環境だからこそ、家族に言い含められる。

「あんたに拒否されたら、私は家での居場所もなくなるの。ゲームではあんまり見えない部分だけど。あれだけ仲……よさそうにしておいてそうなったら、次の嫁ぎ先にもたぶん恵まれない」

 頭が冷えていく。
 ここはゲームの世界ではあるけど、俺たちは生きている。ラビッツは怖がっていたんだな。全然気づかなかった。

「大丈夫だ。何があっても俺は側にいる。ラビッツに……いい奴ができない限り」
「ゲームよりオリヴィアと仲がいいわよね」
「え」
「朝だって隣に呼ばれていたし。すぐにメッセージ飛ばすし」
「いや、それは……」
「分かってる。必要だって分かってるけど」

 それで俺の服を握っていたのか?

 確かに気楽にオリヴィアに頼みすぎていたかもな。もしメッセージ飛ばしが使えなければ、おそらくラビッツに職員を呼びに行かせて俺は一人で突入していただろう。

「ほんとは聞きたいの。なんてメッセージ飛ばしたのって。内容はって」
「事務連絡だけだぞ」
「でも気になる。……不安になる」

 なんだかモテる男の気分になってきたぞ?

「次から声に出すよ。他のメンバーにもバレたことだし」
「うん……」

 俺の手を握るそのあったかい体温に、くらくらする。

「私、これからもニコラに酷いこと言うと思う」
「あ、ああ」
「言わずにはいられないと思う」
「だろうな」

 俺がつい不用意なことを言ってしまうように、ラビッツもつい、ツンデレっぽいことを言ってしまうのかもしれない。思ってもいないことはさすがに口からは出ない。元々、素直なタイプではないんだろうな。

「でも、嫌わないでほしいの。居場所がなくなっちゃうから」

 あー、好きだからって言ってほしかった! やっぱりそこは無理か。でも時間はある。嫌われてはいない。いつか結婚することを受け入れられるくらいに好意は持たれている。

 非リア充だった俺としては、それだけでも嬉しい。……強がっているけど。

「ああ。俺はラビッツが元々最推しなんだ。安心しろ」
「……も、元々のラビッツとも別人なんだけど」
「ん? まぁ、そうだろうな」

 転生しているからな。

「わ、私と『ラビッツ』のどっちが好きなの」

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