転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
「王子……大変」
「おう。その代わりにプータローにはならないぜっ!」
「ラビさん、ニコラさんとらぶらぶしてあげて」
「えっ」
「じーーー」
「そっ、そんな目で見られてもっ」
「じーーー」
「だ、だからっ、えっとっ」

 ベル子はまだラビさん呼びか。他のルリアンもだろうな。いつからだったかなー、呼び方が変わるの。もうゲームとは違うからな。

「そろそろラビちゃんでいいんじゃないか?」

 つい、口に出てしまった。

「えっ」
「ラビちゃん……」

 ベル子となぜかルリアンまで、「ラビちゃん、ラビちゃん……可愛い」と呟き始めた。ラビッツはこっちと二人を見てワナワナしている。

 軽率だったか?

「ニコラさんのお墨付き……ラビちゃん、ニコラさんとらぶらぶしてあげて」
「ちょっ、ちょっと待って」
「じーーー」
「も、もう! 分かったわよ! たまには考えるわ、たまにはね! 皆のいないところでね!」

 皆のいないところで!?
 いかんいかん、興奮する。
 静まれ、俺。
 ここで興奮するわけにはいかない。
 興奮するわけには……!

「皆のいないところで、俺とえっちなことをしてください」

 ――スパーン!

「しないわよ!」
「分かってた。つい言ってしまった。止められなかった」
「もー!」

 ――スパン! スパン! スパン! スパン! スパン!

「連続技ぁ!?」
「つまらぬ者を叩いてしまったわ」
「つまるよ!? 王子だよ!?」
「つまらぬ王子を叩いてしまったわ」
「つまってるからな!?」

 トラが「うにゃ〜」と呑気な声を上げつつ、机の上に置かれたおやつに手を伸ばした。購買で買ってきたらしい『シュワ玉』だ。齧るとシュワッとする魔法加工された駄菓子のような扱いだ。昨日からお気に入りになってしまったようだ。

 うーん。購買に抹茶の粉だけ置いてもらえないか聞いてみるか。製菓用にも使えるしな。今は持参のコップに魔法でチョイチョイと水を入れて飲んでいる。

「平和にゃんね〜。こんな時は何か起きるにゃ
ん」

 昨日の今日で何か起こるわけないだろう。そう思った時――。

 コンコンコンコン――ガチャ! と大きな音がして扉が開いた。

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