転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
 また嵐のような勢いで扉が開いた。久しぶりに会った。いつも通りの赤と黒の手品師みたいな格好だ。

 ――そうして、顧問の魔法を使っているように見せかけた人外の力で教室は乾き、皆で円卓を囲んで座った。

 顧問はすぐにスタコラサッサといなくなった。

「私のせいで、ごめんなさい」
「ベル子のせいじゃねーよ。誰のせいでもないって言いたいけど、面倒くさい家のせいではあるか」
「……私の、家のせい」
「ベル子姉が蹴散らしてくれるさ。のんびり見物しよーぜ。卒業後にはなるだろうけどな」
「うん」
「今後の楽しみができた。ベル子のお陰だな。あとは卒業後のベル子争奪戦に勝たねーとな。ラビッツ、オリヴィア嬢に負けるなよー」
「私を……争奪するの?」
「おうよ」
「ふふっ」

 天使のようなベル子の笑顔が皆にも伝染する。このあとは、皆でなんでもない話をして過ごした。

 ――誰もがいずれ、責任ある立場に就くことになる。

 だから、今はくだらない話に花を咲かせる。

「ラグナシアさん、かっこよかったですね〜。『私に勝てない男なんてお呼びじゃないのよ』には痺れました」
「うん。姉様はやっぱりかっこいい」
「私も祖父母が婚姻相手を連れてくる可能性は高いので、そこを目指してみるのもいいかもしれません」

 ルリアンはそうだよな……。

「私はどうしようかしら」
「にゃーに気に入られない男はお呼びじゃないのよでいいにゃん」
「名案ね。トラ、頼んだわよ」
「ガッテンショーチの助にゃん」

 ……だからお前、絶対日本人だっただろ。

「リュークはなんか希望あるのか? 結婚相手」
「まだなんも考えられねーなー」
「ラビッツはやらないぞ」
「人のもんはとらねーって」
「べっ、別に私はニコラのってわけじゃ……っ、ま、まだ結婚してないしっ」
「ふ〜ん???」
「た、ただの婚約者なんだからっ」
「ラビちゃん……顔赤い」
「うるさいのよっ。もー!」

 いつも通りを装ってくれるベル子も、皆も、この時間を大切にしてくれるんだなと思う。

「よっしゃ! いっそ『パトロール隊へのお願いBOX』とか設けるか!」
「それは名案ですね。幅広く生徒の皆さんのお悩みを解決しましょう」

 ……パトロール隊の目的はなんだっけ?

「ニコラさんのすごい力があれば百人力ですね」
「もう使い切ったー、枯渇したー」
「はわわっ。有限でしたかっ」

 俺もしゃべるのに慣れてきたことだし、お悩み解決隊でもいい気がするな。

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