友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 きらきらとかわいらしくデコレーションされたカードサイズの紙は、とっても綺麗だ。

「暇な時、いつでも連絡してね! 莉子、ずっと待ってるから!」
「う、うん……」
「行こう」
「はーい! 子猫ちゃん! ばいばーい!」

 彼らは腕を組むと、当然のように並んで帰路についた。
 いくら夫婦といえども、モデルとカメラマンがあんなに堂々と歩いていいのだろうか……。
 噂になったら、熱愛発覚とか大騒ぎになるんじゃ……? 

「あの2人、週刊誌に目をつけられる前に、先手を打つと決めたみたいですよ」
「そうなの?」
「ええ」

 ――裏方なのが勿体ないくらいに、綺麗な女の子だったなぁ……。

 莉子ちゃんは、芸能関係者だと言われてもおかしくないほどに目麗しい容姿をしていた。
 それを羨ましく思いながら、ポツリと呟く。

「やっぱり、かわいいほうがいいよね……」
「はぁ……」
「カメラマンの九尾さん。女の子って感じで、ちっちゃくて。明るく元気で、守ってあげたくなるような……」
「羨ましいんですか」
「ちょっとだけ。私はどんなに努力しても、あんなふうにはなれないから……」

 蛍くんが九尾さんを見ても、なんの反応を示さなかったのは助かっているけれど……。
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