友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「莉子」
「奥さんを泣かせるなんてクソ野郎のすることだぞって、お急を据えて来ちゃって!」
「わかった」
「え!? ちょ、ちょっと……!」

 慌てる私を放置して、莉子ちゃんの旦那様は再び夜の街へ繰り出す。
 こんな夜更けに芸能人が外出なんて、大丈夫なんだろうか……? 

「もう、心配いらないよ! たろーちゃんが、旦那様にお仕置きしちゃうんだから! ディレクターさんは、莉子と一緒に寝よーね!」
「り、莉子ちゃん……っ」
「そんなに心配そうな表情、しないのー!」

 本当に九尾夫妻を頼ってよかったのかは、定かではないけれど。
 ここまで来て2人の好意を突っぱねるわけにもいかず、私は渋々出社時刻まで莉子ちゃんと一緒に過ごすことになった。

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