友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
――菫さんと連絡が取れぬまま、二進も三進もいかない状態で1時間ほどが経過すれば、さすがの俺も精神に異常を来し始めた。
今すぐに彼女の声を聞かなければ、発狂してしまいそうだ。
そんな極限状態の中、ようやくこちらが送信したメッセージアプリの既読がついた。
即座にあちらから電話がかかってきて、俺はすぐさま彼女の居場所を把握しようと試みる。
「菫さん!? 今、どこに――」
しかし、聞こえてきたのは先輩の声ではなかった。
『嫁は預かった』
それが従兄弟の九尾瑚太朗だと気づくまで、どうしてやろうかと思った。
菫さんは俺の妻なのに。
見えないところでこそこそと彼女を独占するなど、おかしな話にも程がある。
『今から行く』
彼はこちらが穏やかではいられないと悟るや否や、今度は自分の携帯からメッセージを送ってきた。
俺はてっきり、あいつが菫さんを連れ戻してくれるとばかり思っていた。
彼女が帰って来たら、言葉で示すよりも先に行動で愛を伝えよう。
そうすればきっと、何もかもがうまくいくはずだ。
「菫さ……っ」
だから――。
来客を告げる呼び鈴が鳴り終わる前に扉を開け放ち、最愛の妻を出迎えたのだが……。
今すぐに彼女の声を聞かなければ、発狂してしまいそうだ。
そんな極限状態の中、ようやくこちらが送信したメッセージアプリの既読がついた。
即座にあちらから電話がかかってきて、俺はすぐさま彼女の居場所を把握しようと試みる。
「菫さん!? 今、どこに――」
しかし、聞こえてきたのは先輩の声ではなかった。
『嫁は預かった』
それが従兄弟の九尾瑚太朗だと気づくまで、どうしてやろうかと思った。
菫さんは俺の妻なのに。
見えないところでこそこそと彼女を独占するなど、おかしな話にも程がある。
『今から行く』
彼はこちらが穏やかではいられないと悟るや否や、今度は自分の携帯からメッセージを送ってきた。
俺はてっきり、あいつが菫さんを連れ戻してくれるとばかり思っていた。
彼女が帰って来たら、言葉で示すよりも先に行動で愛を伝えよう。
そうすればきっと、何もかもがうまくいくはずだ。
「菫さ……っ」
だから――。
来客を告げる呼び鈴が鳴り終わる前に扉を開け放ち、最愛の妻を出迎えたのだが……。