友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 自己嫌悪に陥っていると、瑚太朗は当然のようにソファーに横たわる。
 そこは俺の寝床だ。
 どうにか叩き落とそうと目論みたが、こいつは一度寝たら朝になるまで起きない。
 そのため、ため失敗に終わる。

 まったく……。
 呆れてものも言えないとは、まさにこのことだ。
 俺はかなり早い段階でこいつを追い出すのを諦め、床にごろりと転がった。

「菫さん……」

 明日になれば、きっと社内で会える。
 だが、真面目な彼女のことだ。
 きっと、プライベートの話は出来ないだろう。

 ――明日は絶対、何がなんでも愛しい妻と仲直りする。

 ここに必ず、連れ戻して見せるから。
 そう誓い、ゆっくりと目を瞑った。
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