友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 ――これは私の凡ミスなんだから。
 ちゃんと1人で、責任を取らなくちゃ。
 そう考え、彼の好意を跳ね除けた。

「うんん。私だけで大丈夫。このまま残って、全体の微調整をしてなんとかするよ」
「そんなに働いて、大丈夫なんですか」
「三徹くらい、どうってことないよー」
「身体壊したら、元も子もないです」
「伊瀬谷くんったら、大袈裟だぞ! 私のことは、心配いらないから。早く帰って?」

 このまま一緒にいたって、集中できない。
 だから早く帰ってほしいと遠回しに促すこちらの発言が気に入らないのか。
 それとも、純粋に心配してくれているのか……。
 上司と部下として働くようになってから2年しか経っていない状況では、判断がつかなかった。

「ほんとに、手伝わなくていいんですか」
「うん」
「じゃあ、これ……。あげます」

 やっぱり私達が結婚するなんて、無理があるような……? 
 そんなふうに考えていると、伊瀬谷くんは栄養ドリンクと栄養補助食品、未開封のコンビニおにぎりをテーブルの上に置いた。

「コンビニで、夜食。買いました。よかったら、どうぞ」
「いいの?」
「ええ。少しでも栄養をつけないと、持ちませんよ」
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