友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 その後有り余った時間を有効活用するため、スマートフォンを操作し始めた。

 実家から山のような着信やらメッセージが来ているけど、全部無視をして着信拒否をしておく。

『ディレクターさん! 仲直り、できた?』

 莉子ちゃんか送信されてきた文字は、画面越しから明るく元気な声が聞こえてきそうだ。
 私は口元を綻ばせ、返信を行う。

『これから話し合いをするよ』
『頑張って!』
『ありがとう!』

 メッセージアプリのやり取りを終えて携帯を手放せば、耳元で不満そうな声が囁かれる。

「また、よそ見しているんですね」
「蛍くん」
「菫さんは、俺の奥さんなんですから。目を、逸らさないでください」

 面と向かって奥さんと言われると、なんだか急に気恥ずかしくなってきた。

 絶対好きになっちゃいけない。
 そう何度も言い聞かせて、心を閉ざすべきだった。
 なのに――。
 一度愛してしまったら、その想いを捨て去ることなんて簡単には出来なくて。

 このままなんて絶対に嫌だった。
 蛍くんと、普通の夫婦になりたい。
 そう思ったから、友情結婚を望んでいる彼とはお別れしなくちゃいけない。
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