友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 すると蛍くんは、妖艶な笑みを浮かべて私に問いかける。

「強引に迫られるのは、嫌ですか」

 そんなふうに誘いをかけてくるのは、卑怯だ。
 こちらは頷く以外の選択肢がなくなってしまうから……。

「蛍くんにだったら、いいよ」
「よかったです」

 彼の指先が身体を這う度に、恥ずかしくて仕方なかった。
 でも、それと同じくらいに幸せな気持ちでいっぱいになれたのは、感謝するべきだと思う。

「おやすみなさい、蛍くん」
「眠るのが気持ちよすぎて、寝坊しないようにしてくださいね」

 一言多い彼の言葉に文句を言いたくなる気持ちをぐっと堪え、暖かな温もりに包まれたまま意識を手放した。
< 164 / 238 >

この作品をシェア

pagetop