友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「うわー。凄い人混み!」

 ゴーストパーティランドに到着した私は、入口が見えないほどに最後尾が長く連なっている光景を目にして歓声を上げる。
 店員さんが『入場まで60分』というプラカードを手にしているのに気づき、蛍くんの顔色を窺いつつ問いかける。

「長時間並ぶのって、平気?」
「俺は、我慢できないタイプです」
「そうだよね……」

 せっかく来たが、並ぶのが無理だったら諦めるしかなさそうだ。

 ――腕を組み、並んで歩いているだけでもデートだもん。

 私は落ち込んでいる暇はないと気持ちを切り替え、即席で考えたプランを披露するべく唇を動かす。
 しかしそこで、待ったがかかった。

「お散歩も、立派な……」
「行きましょう」
「ここまでやってきた記念に、入口で写真を撮ってから帰るとか?」
「まさか。優先レーンがあるんですよ」
「この長い行列を、スキップできるの!?」
「ええ」
「凄い! さすが蛍くん! 用意周到だね!」

 私はこの施設にどんなアトラクションがあるかすらも知らない。
 そのため、下調べをしてスマートに誘導してくれる旦那様には感謝してもしきれなかった。
 逸れないように彼の腕へしがみつき、幸せいっぱいな気持ちでいっぱいになる。
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