友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「終了~! お疲れ様でした! カップルボーナスは、やはり圧巻! 本日の1位です!」

 カンカンカンカンと響き渡る甲高いベルの音を聞きながら、ハンマーを投げ捨ててからその場にぺたんと座り込む。
 日頃の運動不足が祟ったようで、1位を取れたと喜ぶよりも先に疲労感でいっぱいになってしまった。

 ――今日はまだ、始まったばっかりなのに……!

 悔しい気持ちをいだきながらも生まれたての子鹿のようにゆっくりと立ち上がれば、見かねた蛍くんがこちらまでやってきて満身創痍な身体を支えてくれた。

「菫さん。大丈夫ですか?」
「あ、ありがとう……。少し、張り切りすぎちゃって……」
「医務室、行きましょう」
「お、大袈裟だよ! まだまだ楽しいこと、経験しよ……?」
「いえ。明日も仕事なんですから。無理をする必要はありません」
「蛍くん……。ごめんね」
「謝るべきは、こっちのほうですよ。初っ端から、飛ばしすぎました」

 私は蛍くんの手を借り、ゆっくりと立ち上がる。
 このまま床の上にへたり込んでいたところで、周りの迷惑にしかならないからだ。
 覚束ない足取りでアトラクションの敷地外へ出れば、満面の笑みを浮かべた店員に声をかけられる。
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