友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「綺麗……。呑むのが、もったいないくらいだね」
「気に入っていただけたようで、よかったです」
「ハンバーグもおいしいし、来てよかった!」

 目の前に提供されたハンバーグをあっという間に完食したあと、ゆっくりとノンアルコールカクテルを味わう。
 一気に飲んだら一瞬で終わってしまうような量しかないけれど、チビチビと口をつけているうちに、結構な時間がかかってしまった。

 ――蛍くんが入手してくれたチケットは、並ばなくて済む奴だもん。
 こんなところでのんびりと過ごすよりも、ガンガンとアトラクションを体験して元を取ったほうがいいんじゃ……!? 

 そう思い立った私は、彼にそろそろ出ようかと相談しようとして――その言葉をぐっと飲み込む。
 蛍くんが決意を秘めた瞳で、じっとこちらを見つめているのに気づいたからだ。

 ――ここで私から声をかけたら、二度と伝えてもらえない……。

 そんな危機感で胸がいっぱいになり、静かに彼の声が聞こえてくるまで大人しく待ち続けた。
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