友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「あー。口から魂が、飛び出そう……」

 さすがに三徹は無理があった。
 自分でもそう思うくらいに疲弊しているせいか、机に突っ伏したまま動けなくなってしまった。

 ――まずいなぁ……。
 これ以上の作業は、ちょっと無理かも……。

 休んでいる暇などないのに、身体が言う事を聞いてくれなかった。
 こういう時は5分だけ目を瞑って、体力を回復するのを待つのが一番だ。
 スマートフォンのタイマー機能をセットし、さぁ寝ようと瞳を閉じる。

「無理するからですよ」

 すると、浅い眠りを邪魔するものが現れた。
 伊瀬谷くんは額に買ってきたばかりの缶ジュースを頬に当てると、不機嫌そうに眉を顰めてこちらを見下す。

「こんなところで寝るの、よくないですよ」
「ちょっとだけ……。すぐ、起きるから……」
「もう、定時は過ぎてます。今日は帰りましょう」
「でも、仕事……」
「半日くらい残業しなくたって、どうとでもなります」
「後々困るのは、私なんだけど……」

 ウトウトと微睡む意識の中でぼやけば、彼に顔を覗き込まれる。
 唇が触れ合いそうなほどに近い距離にぎょっとして身体を反らせば、真剣な眼差しでこちらを見つめる伊瀬谷くんに凄まれた。
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