友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
私は不機嫌そうな声音で紡がれる言葉を静かに聞き続けた。
「菫さんは、想定外のことばかりをする。離婚を切り出してきた時だって、そうです。対話を拒絶して逃げたかと思ったら、本気で好きになっちゃったから別れるって……そんなこと、あります?」
「あ、あの時は……! いろんな感情がぐちゃぐちゃで……っ!」
「恥ずかしがる姿も、好きですよ」
「もう。蛍くんったら……」
こういう時にさらっと愛の告白ができるところは、尊敬に値する。
私も、もっと見習わなければと背筋を伸ばした。
「俺も、怖かったです。やっと同棲まで漕ぎ着けたのに、あなたと縁が切れるかもしれないと……」
「もう、不安は取り除けた?」
「はい。今は、大丈夫です。だから、こうして伝えようと思いました。いつか……。そう遠くない未来に、決断を迫られるので……」
「それって……」
「一生篝火グループにかかわらないで生きるか、あとを継ぐか」
最悪の結末が訪れるかもしれないと悟ったからこそ、こうして打ち明けてくれたのだろう。
それが何よりも嬉しくて、心がじんわりと暖かな気持ちになる。
しかし、そんなこちらの思いとは裏腹に、彼の顔色は優れなかった。
「菫さんは、想定外のことばかりをする。離婚を切り出してきた時だって、そうです。対話を拒絶して逃げたかと思ったら、本気で好きになっちゃったから別れるって……そんなこと、あります?」
「あ、あの時は……! いろんな感情がぐちゃぐちゃで……っ!」
「恥ずかしがる姿も、好きですよ」
「もう。蛍くんったら……」
こういう時にさらっと愛の告白ができるところは、尊敬に値する。
私も、もっと見習わなければと背筋を伸ばした。
「俺も、怖かったです。やっと同棲まで漕ぎ着けたのに、あなたと縁が切れるかもしれないと……」
「もう、不安は取り除けた?」
「はい。今は、大丈夫です。だから、こうして伝えようと思いました。いつか……。そう遠くない未来に、決断を迫られるので……」
「それって……」
「一生篝火グループにかかわらないで生きるか、あとを継ぐか」
最悪の結末が訪れるかもしれないと悟ったからこそ、こうして打ち明けてくれたのだろう。
それが何よりも嬉しくて、心がじんわりと暖かな気持ちになる。
しかし、そんなこちらの思いとは裏腹に、彼の顔色は優れなかった。