友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「はしゃぎすぎた……」
蛍くんは自宅に戻ってきた途端、玄関先でもう限界だと言わんばかりにぐったりと膝をつく。
その顔色には、珍しく疲労感が滲んでいた。
「だ、大丈夫!? 私、お水持ってくる!」
私は夫の反応を見かね、慌ててリビングへ向かう。
その後冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してコップに汲むと、急いで倒れ伏す彼の口元へ持っていく。
「飲める?」
「ああ……」
蛍くんは明らかに普段よりも元気がない声音でぽつりと呟いたあと、グラスを手にして一気に飲み干す。
どうやら、開封したペットボトルごと持ってくるのが正解だったようだ。
「そんなに一気飲みすると、身体によくないよ?」
こちらが夫の顔色を窺いながら、空のコップを取り上げようとした時だった。
蛍くんはへらりと年相応の笑みを浮かべると、普段と異なる口調で声を発する。
「今日は本当に、ありがとな」
「うんん」
「こんなに楽しかったの、人生で初めてだ」
「どう、いたしまして……?」
これも、彼の思いを否定せずに受け入れた効果なのか。
それとも、酔いが回って取り繕う暇すらもないのか。
後者なら、心を開いてくれたと喜んでいる場合ではない。
明日に備えて、睡眠を取らせなければ……!
蛍くんは自宅に戻ってきた途端、玄関先でもう限界だと言わんばかりにぐったりと膝をつく。
その顔色には、珍しく疲労感が滲んでいた。
「だ、大丈夫!? 私、お水持ってくる!」
私は夫の反応を見かね、慌ててリビングへ向かう。
その後冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してコップに汲むと、急いで倒れ伏す彼の口元へ持っていく。
「飲める?」
「ああ……」
蛍くんは明らかに普段よりも元気がない声音でぽつりと呟いたあと、グラスを手にして一気に飲み干す。
どうやら、開封したペットボトルごと持ってくるのが正解だったようだ。
「そんなに一気飲みすると、身体によくないよ?」
こちらが夫の顔色を窺いながら、空のコップを取り上げようとした時だった。
蛍くんはへらりと年相応の笑みを浮かべると、普段と異なる口調で声を発する。
「今日は本当に、ありがとな」
「うんん」
「こんなに楽しかったの、人生で初めてだ」
「どう、いたしまして……?」
これも、彼の思いを否定せずに受け入れた効果なのか。
それとも、酔いが回って取り繕う暇すらもないのか。
後者なら、心を開いてくれたと喜んでいる場合ではない。
明日に備えて、睡眠を取らせなければ……!