友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「じゃあ、九尾夫妻と私も親族ってことになるよね……?」
「少し、遠いですが。そうなるかと」
「へぇ~。もしかして、私以外みんな知ってた?」

 九尾くんに当たりが強いのは、どうやら親族だからのようだ。
 莉子ちゃんがやたらとこちらを気にかけてくれたのも、もしかしたら九尾くんから事前に話を聞いていたのかもしれないね。

「さぁ……。俺は瑚太朗の嫁さんと、交流がないので……」
「今度、莉子ちゃんに聞いてみるね!」

 蛍くんがわからないのなら、さり気なく彼女に聞けばいい話だ。
 私はあの子に出会えて本当によかったなぁと、頬が緩むのを止められない。

「嬉しいですか」
「当たり前だよ! 2人には、たくさんお世話になったもん。これからは、もっと仲良くなれそうだね!」

 莉子ちゃんは年下なのに、弱った私をいつだって元気づけてくれた。
 歳上なのに情けないって思うことも多かったけど、通常時は元気いっぱいに甘えてくれる。
 姉と比べられて育ったせいで、妹が欲しくて堪らない時期があったこともあり、この状況は願ったり叶ったりだった。
 でも、蛍くんはそれをよく思っていないようだ。
< 192 / 238 >

この作品をシェア

pagetop