友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
職場では旧姓で通しているのを思い出したからだ。
同僚に呼ばれた蛍くんは、先程までの不機嫌そうな表情を一瞬で隠すと、渋々椅子から立ち上がる。
「なんですか」
「お客様よ」
「こんな時間に?」
「ええ。ライソリューションの、九尾さんよ」
「げっ」
女性の背からひょっこりと顔を出したのは、夫の従兄弟だった。
九尾くんは露骨に嫌そうな顔をした蛍くんが逃げるのを防ぐように出入り口を塞ぎ、じっと剣呑な表情で彼を見下す。
「な、なんだよ……!」
ここが職場であることもすっかり忘れ、口調が崩れている。
「仲良しだなぁ」
「違います!」
温かい目で見守りつつ心の中で呟いた言葉はどうやら口から出てしまっていたようだ。
もの凄い勢いで否定されてしまう。
それに落ち込んでいたら、蛇と蛙の睨み合いが始まった。
「職場まで押しかけてくるとか、正気かよ」
「蛍」
「俺は絶対に、行かないからな!」
蛍くんはここが職場だと言うのも忘れ、駄々を捏ねる子どものように九尾くんに吐き捨てた。
彼の従兄弟はこのまま説得を続けてもなんの意味もないと悟ったようで、こちらの興味を引く発言をしてきた。
同僚に呼ばれた蛍くんは、先程までの不機嫌そうな表情を一瞬で隠すと、渋々椅子から立ち上がる。
「なんですか」
「お客様よ」
「こんな時間に?」
「ええ。ライソリューションの、九尾さんよ」
「げっ」
女性の背からひょっこりと顔を出したのは、夫の従兄弟だった。
九尾くんは露骨に嫌そうな顔をした蛍くんが逃げるのを防ぐように出入り口を塞ぎ、じっと剣呑な表情で彼を見下す。
「な、なんだよ……!」
ここが職場であることもすっかり忘れ、口調が崩れている。
「仲良しだなぁ」
「違います!」
温かい目で見守りつつ心の中で呟いた言葉はどうやら口から出てしまっていたようだ。
もの凄い勢いで否定されてしまう。
それに落ち込んでいたら、蛇と蛙の睨み合いが始まった。
「職場まで押しかけてくるとか、正気かよ」
「蛍」
「俺は絶対に、行かないからな!」
蛍くんはここが職場だと言うのも忘れ、駄々を捏ねる子どものように九尾くんに吐き捨てた。
彼の従兄弟はこのまま説得を続けてもなんの意味もないと悟ったようで、こちらの興味を引く発言をしてきた。