友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
最悪の場合は地雷を踏んで、怒り出した彼にいきなり深夜の路地裏に放り出されるかもしれない。
そんな危機的状態に陥る可能性を頭に思い浮かべながらも会話を続けていると、伊瀬谷くんの口から意外な言葉が紡がれた。
この先に続く内容が気になり、思わず問いかけてしまう。
「そうなの?」
「面倒じゃないですか。喜怒哀楽を出すのって。疲れるので、俺はしません」
「感情を抑制してるってこと?」
「そうですね」
「そのほうが、よほど気疲れしそうだけどな……」
世の中には、いろんな人がいる。
物事に対する考え方は1つではないのだから、批判するのはおかしな話だとわかっていた。
でも、私には彼の主張がどうしても納得できなくて――ぽつりと呟いてしまう。
「桐川さんは、俺とは真逆ですよね」
「うーん……」
「我慢とか、出来ないですもん」
「もしかして、馬鹿にしてる?」
「いえ。褒めてます。俺はいつも、羨ましいと思ってますよ。見ていて、楽しいです」
伊瀬谷くんは不機嫌になるかと思いきや、普段通りの淡々とした声音を発し続けている。
それにほっとすると同時に、やっぱり変わった人だなぁと感心する自分がいた。
だからこそ、彼に褒められても嬉しくはなくて……。
思わず苦言を呈してしまう。
そんな危機的状態に陥る可能性を頭に思い浮かべながらも会話を続けていると、伊瀬谷くんの口から意外な言葉が紡がれた。
この先に続く内容が気になり、思わず問いかけてしまう。
「そうなの?」
「面倒じゃないですか。喜怒哀楽を出すのって。疲れるので、俺はしません」
「感情を抑制してるってこと?」
「そうですね」
「そのほうが、よほど気疲れしそうだけどな……」
世の中には、いろんな人がいる。
物事に対する考え方は1つではないのだから、批判するのはおかしな話だとわかっていた。
でも、私には彼の主張がどうしても納得できなくて――ぽつりと呟いてしまう。
「桐川さんは、俺とは真逆ですよね」
「うーん……」
「我慢とか、出来ないですもん」
「もしかして、馬鹿にしてる?」
「いえ。褒めてます。俺はいつも、羨ましいと思ってますよ。見ていて、楽しいです」
伊瀬谷くんは不機嫌になるかと思いきや、普段通りの淡々とした声音を発し続けている。
それにほっとすると同時に、やっぱり変わった人だなぁと感心する自分がいた。
だからこそ、彼に褒められても嬉しくはなくて……。
思わず苦言を呈してしまう。