友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「一度選択したら、戻れませんよ」
「この提案をした時点で、覚悟は決めているから」
「わかり、ました……。こちらも、素直になりましょう」

 蛍くんはようやくこちらの決意に納得したようで、一度身体を離す。
 その後、両手を広げて待ち構える。

「プライベートだけではなく、仕事でも。今までと同じように、俺を支えてもらえませんか」
「もちろん!」

 私は元気よく返事をしたあと、当然のように彼の胸元へ顔を埋める。
 蛍くんは危なげなくしっかりと抱きしめると、今にも泣き出しそうな声音でお礼を告げた。

「ありがとう、ございます……」
「どういたしまして!」

 そうと決まれば、さっそく行動に移すべきだ。

 ――さっきまでの重い空気はどこへやら。
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