友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果

「同居にも、向き不向きがあります。四六時中一緒にいたら、気に食わないこともあるでしょう」
「喧嘩を防ぐために、そういう選択をする人もいるんだ……？」
「そうですね。別々の趣味を持っている人や、生活リズムが異なる人はこうした選択をするようです」

　私が難色を示せば、蛍くんはわかりやすく説明してくれた。
　だけど、その提案をうまく受け止めきれない自分がいて……。

「職場では、一緒に行動することも多いですからね。プライベートは別というのも、ありだとは思いますよ」
「それってさ。信頼関係がないと、無理だよね……」
「お互いに監視していないと、不安ですか」
「私達は、好き同士で結婚したわけじゃないもん。蛍くんに最愛の人が出来ても、今はなんとも思わないけど……」

　もしもの可能性を考えるだけでも、気分が落ち込む。
　お互いが大好きなわけじゃないからこそ、ずっと一緒にいなければほかの女の人と関係を持ってしまうのではないかと、よくない思考ばかりが頭を満たすのだ。

「籍を入れた以上は、周りの目も、気になるし……。家賃だって……」
「そのあたりは、相談して決めましょ
　う」
「そうだね……」