友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「午前中はうちの両親、午後は蛍くんのご実家へ向かう感じでいい?」
「構いません」
「ありがとう。うちは、両親と姉。3人と会うことになると思う。蛍くんは……」
「おそらく、母だけだと思います。父に、発言権はないので」
「そっか」

 お父様がどんな職業にお勤めなのかは気になるが、彼が言いたくないのならば無理強いするべきではないだろう。
 私はこれ以上深く追及するのは止め、次の話題に移る。

「馴れ初めとか、結婚に至るまでの経緯とか……」
「嘘をつく必要はありません。ありのまま、伝えましょう」
「友情結婚だってことも?」
「それは、隠してください」
「わかった。蛍くんに告白されたあと、交際0日で結婚したって伝えるね」
「ツッコミどころしかありませんが……。まぁ、いいでしょう。菫さんは、嘘をつけない人ですから」

 蛍くんは咄嗟に思いついた言い訳に難色を示しているが、こっちだって聞き捨てならない発言には異を唱えたい。
 そう考えて、思わず声を発した。

「ええ? 私だって、やる時はやるよ!?」
「嘘をついている時、挙動不審になるの。ご自分で気づいていらっしゃらないんですか」
「ほんとに!?」
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