友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 取り繕う必要はないのだと背中を押されて、ほっとした。
 蛍くんに釣り合う女性を演出するため、口数少なく落ち着いた態度を心がけてくれと言われても、持続できる気がしなかったからだ。

「そうだ。洋服なんだけど……」
「それなら、これを着てください」

 あとは当日着ていく衣服について打ち合わせを済ませるだけだ。
 それに気づいて聞けば、再び蛍火グループの関与しているブランドのパーティードレスを手渡された。

「指定、あるの?」
「母は普段着だと、そんなみすぼらしい姿をして俺の隣に立つなと辛辣な言葉を投げかけてくる可能性が高いので。お眼鏡に叶いそうなものを、用意しておきました」
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