友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 ――私も一応、雑誌編集者なんだけどな……。

 自分で選んだ服装は貧相だと遠回しに指摘を受けてショックを受けながらも、持ち前の明るさで憂鬱な気持ちを跳ね飛ばす。
 その後、恐る恐る問いかけた。

「蛍くんのお母様って、何者……?」
「偏屈な主婦です。職場によくいる、お局様とでも思ってもらえれば構いません」
「な、仲良くなれるかな……?」

 誰でも交友を深められるのが取り柄だとは思っているけれど、こちらを敵視する女性に気に入ってもらえる確率は半々くらいだ。
 だからこそ、急に不安になってきた。

「できる限り、サポートはします。一緒に、頑張りましょう」
「うん……!」

 ここでやっぱり無理です、ごめんなさいなど言えるわけがない。
 私は彼とともにしっかりと頷き合い、食器を片づけると、身支度を整えてから明日に備えて眠った。

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