友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果

「実家への挨拶はサクッと済ませて、ラスボス戦に備えよう!」

 蛍くんのお母様に聞かれたら絶対に怒られそうなことを口にしつつ、準備を済ませた私達夫婦は揃って実家にやってきていた。

 合鍵を使って玄関を開ければ、すでに姉と両親が勢揃いで出迎えてくれる。

「菫!」
「ああ、やっときた」
「どういうことか、一から十まで説明してもらうぞ」

 家族は隣にいる蛍くんなど目もくれず、口々にこちらへ凄む。
 それに内心うんざりしながらも、まずは自己紹介から始めようと仕切り直す。

「蛍くん。紹介するね。右から、お姉ちゃん。お母さんとお父さん」
「初めまして。伊瀬谷蛍です」
「あなたが……?」
「菫よりも、若そうに見えるが……」
「先輩よりも、2歳下です」
「あらあら。年下好きだったのね……」
「年上ばかりを勧めていたのが、仇になったか……」

 両親の反応は、かなり悪い。
 蛍くんの前じゃなければ、怒鳴りつけているところだ。

「お父さん、お母さん。立ち話も難だから、中に入って貰えば?」
「ごめんね、お姉ちゃん。このあと、蛍くんのご両親にも挨拶へ向かう予定なの。だから、ここでいいよ」
「そんなこと言わずに……」
< 56 / 238 >

この作品をシェア

pagetop