友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 ご褒美があると言われたら、俄然やる気が出てきた。
 財布から200円を取り出し投入すれば、さっそく筐体から施設内の大音量に負けない音声が響き渡る。

『苛立つ相手に見立ててボッコボコ! ポコポコ顔を出すモグラを、ハンマーで叩いてね! 3秒後に始まるよ! 準備はいい?』
「ま、待って……!」

 初めてプレイする、こちらの身にもなって欲しい。
 インプットされた定型文は、準備を進める前に淀みなく発声され続ける。
 私は大慌てで蛍くんに差し出されたおもちゃのハンマーを両手に握りしめ、構えた。

『3、2、1、スタート!』

 元気な女性の合図とともに、まずは1匹ずつモグラがひょっこりと右上の穴から飛び出す。
 それを叩けば、左下、中央と順番に引っ込んでは顔を出してを繰り返した。

『30秒経過! いい感じだね! 今度は、同時に出現するよ!』

 どうにかあっちこっちから飛び出すモグラ達を叩いて回っていたのに、準備運動は済んだとばかりに複数の人形が飛び出してきた。
 2本の手を使って4匹など処理しきれるはずもなく、何を優先すればいいのかすらもわからなくなる。
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