友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「どれ!?」
「右下と左上です」
「うう、もう! わかんない! 助けてー!」

 後方で全体を見渡していた彼の冷静な指示が飛んでくるが、パニックに陥っている状態ではどうしようもない。
 ヘルプコールを出せば、「仕方ないですね」と呆れたように隣へ並び立つ。
 ハンマーを手渡せば、左半分から飛び出てくるモグラ達を俊敏な動きで叩き始めた。

「蛍くん、凄い!」
「見惚れている暇はありませんよ。右半分は、菫さんの担当です」
「うん! 頑張る……!」

 私達はあっちへこっちへと不規則な動きで顔を覗かせるモグラに翻弄されながら、ハンマーを振りかぶり続けた。

『結果発表~! あなたの特典は……』

 軽快なリズムとともに、中央のパネルに得点が表示される。

『198点! 惜しい~! また、挑戦してね!』

 あと2点足りなかったせいで、残念ながら1プレイ無料チケットはもらえなかった。
 だけど……。
 さっきまでの嫌なことは綺麗さっぱり忘れられたから、もういいかな。
 私はハンマーを元の場所へ戻し、荷物を手にして夫へ向き直った。
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