友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「遅くなりました!」

 バタバタと靴音を立てて全速力で駆け込めば、すでに撮影は始まっていた。
 私はスタッフに何度も頭を下げて謝罪を繰り返しながら、蛍くんと一緒に写真を確認する。

「どうですか」
「とってもいい感じ! お洋服が、きらきら輝いて見えるよ!」
「これから売り出し予定のモデルが、暇を持て余していたおかげですね。いい雑誌になりそうです」

 モデルの名前は九尾瑚太朗(きゅうびこたろう)さん。
 25歳の男性だ。
 うちとのお仕事は初めてだけど、急ごしらえの割には対応力がとんでもない。
 クール、セクシー、キュート、ポップ……。
 次々に系統の異なる洋服を着こなす姿は、一流にも勝るとも劣らぬ輝きを放っていた。

「うん。売り上げ次第だけど、次もお願いしたいな……」
「なら、これだけは絶対に覚えておいてください。彼を起用する時は、必ずカメラマンもセットでオファーすること」
「そんな条件があるの?」
「ええ。雲泥の差があるので、気をつけてください」

 私はモニターから顔を外し、モデルの姿をじっと見つめた。
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