弱さを知る強さ

19:00
クリニックが終わって受付のスタッフや看護師が上に上がってきた

何も言わなくなったあやはを置いて休憩スペースにでた

「お疲れ様です、恭介先生お元気でした?」

「はい、とっても」

「知らない間に彼女できちゃって...」

「彼女??え?彼女?」

「恭介に彼女?」

あとからあがってきていた聡と大和が大声を出して驚いている

「違うよ」

「でも...なんかあの感じ...」

受付スタッフがニヤニヤしながら話してくる

「患者だよ」

「ふーーーん」

大和もニヤニヤしながらロッカーに行った

受付スタッフや看護師は着替えてみんな帰って行った

聡と大和は着替えたあと休憩スペースに座ってコーヒーを飲みながら喋っている
 
冷蔵庫に入っているお茶をコップにいれてあやはに渡しに入った

「どうすることにした?」

「記録しに家に帰りたい」

「今持ってんの?」

「ない」

「じゃ取りに帰ってそのまま総合病院に集合」

「...」

...トントン

「はい」

「恭介、あけてもいい?」

親父だ

「うん」

扉を開けた

「みんなで飯いこう、せっかく全員揃ってるし」

「俺はいいや」

あやはもいるしそこまで時間ない

「奢るからさ」

「こいつと病院戻るんだよ
だから時間ない」

「戻るって?」

「昨日まで入院してて今から戻る」

「戻すなら早く戻せよ
遅い時間に戻したら病棟に迷惑かかるだろ」

後ろから親父と俺との話を聞いていた聡が口を挟んできた

「わかってるよ」

「はたから戻す気ないんだろ」

大和がニヤニヤしながら言ってくる

確かに俺は今日戻す気はなかった
点滴だけしてくれればいい
けど難しそうなら戻すしかない

「とりあえず飯はパス、俺抜きで行ってくれ」

「ちょいと失礼
ねぇねぇ名前なんて言うの?」

大和が無理やり仮眠室に入った

「おい、やめろ」

「別にいいでしょ」

ベッドに座ってたあやはの横に大和が座った
あやははびっくりして大和から少し距離をとった

「名前なに?」

「...神田 あやはです」

「あやはちゃんかぁ、いい名前
何歳?」

次から次へと質問していく
三兄弟の中で1番、遊んできた大和
気分が悪い

「やめろって」

「あやはちゃんも一緒にご飯行かない?」

「...えっ」

「親父が出してくれるよ」

「...」

俯いて何も言わなくなった

「おい、お前そこは記録が...だろう」

「...」

俺の時は記録記録うるさいのにはっきり断らない
なんだか腹が立つ

「大和、無理強いはするな
2人にしかわからないことがある
行けないなら仕方ない」

親父が大和にストップをかけた

「...仕方ないかぁ
恭介が気になってる子だから俺も気になってたんだけどなぁ」

「うるせぇ」

あやはの前でいらんこと言うなよ
まだ俺の気持ち伝えられてないし俺自身もわからない


少しずつその気持ちを自分でも確かめていく予定だけど兄貴にズカズカ入ってこられるのは不愉快だ

「...金森先生?」

「ん?」

「...お腹すいた」

「いいじゃーーーん、飯行こう」

大和がそれを聞いてテンション上がった

「お前記録は?」

「...手伝って」

「はい?
ちょい2人で話がある、みんな出ていって」

親父が大和の手を引いて出て行った

「どういうつもり?」

「...いや」

「飯行きたいのか?俺の家族と」

「賑やかで楽しそう」

「記録はいつやるの?」

「ご飯終わったら」

「点滴は?」

「...」

都合が悪くなるとだまる

「記録どれくらいで終わんの?」

「金森先生が助けてくれるならそんなに時間かからないと思う」

「じゃあ記録先やって飯行って帰ってきてから点滴やれ」

「...どこで?」

「病院」

「...戻るの?」

「戻るかかここか」

「えっ?」

「親父に一階の処置室借りてそこで点滴する」

「夜遅くなるよね?」

「ここから家近いんだろ?」

「...うん」

「ただここには点滴はあるけど睡眠薬はない
俺が痛くないようにするから我慢して耐えろ」

「...できない」

「だからやってないのにできないってなぜわかる」

「私が点滴嫌な理由は刺す時だけじゃないから...」

「どういうこと?」

「体内に薬が入ってるってだけで気分悪くなる」

「考えなけりゃいい」

「目に見えるでしょ
刺さっているのも点滴が減っていくのも」

「じゃあ見えないところに刺して輸液バッグを隠せばいい?」

「...そういう問題じゃ」

「頑張る努力するなら記録も手伝ってやるし飯も行けばいい
やってもないのにできないは許さない」

ちょっと顔を曇らせたあと

「...ごめんなさい
やっぱりでき...ない
記録も自分でやるしご飯も帰って食べる
今日は帰る」

「わかった、明日から入院だ
今日は遅いから帰宅を許す
明日、実習終わったら総合病院にこい」
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