恋は計算通り、君は想定外
4 埋め合わせ、まだ来ませんけど?
この時点で俺が取るべき選択肢は一つしかない。
「OK」
「やったー!」
それだけ言うと、彼女は手を叩いて喜んでる。俺のこの返しは正解だが、席を移動させようと机の端を持った途端に、彼女の机の中身が俺の机の上に、ドサっと乗せられたのはどういう事だろう。
違うだろ。そこは男の腕っぷしで重い机を移動した感心させる的な流れになるはずだ。それがどういうわけか、机の中の物を細々と入れ替える的な事をせざるをえなくなっている。
渋々という顔を全く表面には出さずに、笑顔で移動する。後で先生に何か言われたら、その時は正直に主犯な事を名乗り出ればいい。クラスで何回か注目されるのは、それこそラノベ主人公というもの。今回はそれで良しとしよう。
そうして一週間も過ぎたあたりには、今まで窓際を眺めてた彼女は、すっかり周囲と溶け込んでる。同じ教室の女子達と大声で笑いながら、何かを喋ってる。もちろん、俺とは、あれからろくに話す事もなく、埋め合わせとやらは今もなお、何も受けてはいない。
まあ、そんな事はどうでもいい。とりあえずは、この校庭を見渡す事の出来る景色をゲット出来たんだからな。
「‥‥‥‥」
開けたままの窓から初夏の風が吹き込んでくる。それをアンニュイな表情で体育の時間でグラウンドを走らされてる生徒の姿を見つめる俺は、主人公すぎる。
時間が経つと起こる事は、まあ様々だ。一人暮らしも、高校生活も初めての事なのに、慣れてきたと思ったら、また新しい事が起こる。しかし、それにアタフタするのが、モブで、それとは違う俺は、どんなときも冷静さを保つ。
慣れてきた事はと言えば、前の席の男子生徒と話す事が多くなった事か。
「なあ、悠太は今回の中間試験どうだった?」
雄二という名前の彼は特にイケメンでもなく、あまり目立つ事もない、ごく普通の生徒だ。
ことさら、テストの事を聞いてきたのは、やっぱり心配だったからなのだろう。だが、聞かない方がいい事も世の中にはたくさんある。俺の返ってきた点数はどれもほぼ満点だった。授業中に寝てるからと言って、無残な成績では、ダメな方のラノベの人物になってしまう。それだけは避けたいからな。
「まあまあかな」
そんな事を言ってお茶を濁す。
よく小説やアニメである、成績を順位の上から名前を表示して廊下に張り出すという事は、実際にはない。今はそういう個人情報には煩いようだけど、出来ればバン!と張り出してほしい。一位でなくてもいい。むしろ、二位か三位あたりがいい。一位は大概、ヒロインのポジションに決まっているのだから。
逆に考えれば張られていればこのクラスのヒロインが誰か分かるんだが残念だ。
「見てくれよこれ」
見たくもなかったが、雄二が返ってきたテスト用紙を、見せつけてくる。
赤点をギリギリ回避してるのは凄いが‥‥。お前は今まで、何をしてたんだ。
「OK」
「やったー!」
それだけ言うと、彼女は手を叩いて喜んでる。俺のこの返しは正解だが、席を移動させようと机の端を持った途端に、彼女の机の中身が俺の机の上に、ドサっと乗せられたのはどういう事だろう。
違うだろ。そこは男の腕っぷしで重い机を移動した感心させる的な流れになるはずだ。それがどういうわけか、机の中の物を細々と入れ替える的な事をせざるをえなくなっている。
渋々という顔を全く表面には出さずに、笑顔で移動する。後で先生に何か言われたら、その時は正直に主犯な事を名乗り出ればいい。クラスで何回か注目されるのは、それこそラノベ主人公というもの。今回はそれで良しとしよう。
そうして一週間も過ぎたあたりには、今まで窓際を眺めてた彼女は、すっかり周囲と溶け込んでる。同じ教室の女子達と大声で笑いながら、何かを喋ってる。もちろん、俺とは、あれからろくに話す事もなく、埋め合わせとやらは今もなお、何も受けてはいない。
まあ、そんな事はどうでもいい。とりあえずは、この校庭を見渡す事の出来る景色をゲット出来たんだからな。
「‥‥‥‥」
開けたままの窓から初夏の風が吹き込んでくる。それをアンニュイな表情で体育の時間でグラウンドを走らされてる生徒の姿を見つめる俺は、主人公すぎる。
時間が経つと起こる事は、まあ様々だ。一人暮らしも、高校生活も初めての事なのに、慣れてきたと思ったら、また新しい事が起こる。しかし、それにアタフタするのが、モブで、それとは違う俺は、どんなときも冷静さを保つ。
慣れてきた事はと言えば、前の席の男子生徒と話す事が多くなった事か。
「なあ、悠太は今回の中間試験どうだった?」
雄二という名前の彼は特にイケメンでもなく、あまり目立つ事もない、ごく普通の生徒だ。
ことさら、テストの事を聞いてきたのは、やっぱり心配だったからなのだろう。だが、聞かない方がいい事も世の中にはたくさんある。俺の返ってきた点数はどれもほぼ満点だった。授業中に寝てるからと言って、無残な成績では、ダメな方のラノベの人物になってしまう。それだけは避けたいからな。
「まあまあかな」
そんな事を言ってお茶を濁す。
よく小説やアニメである、成績を順位の上から名前を表示して廊下に張り出すという事は、実際にはない。今はそういう個人情報には煩いようだけど、出来ればバン!と張り出してほしい。一位でなくてもいい。むしろ、二位か三位あたりがいい。一位は大概、ヒロインのポジションに決まっているのだから。
逆に考えれば張られていればこのクラスのヒロインが誰か分かるんだが残念だ。
「見てくれよこれ」
見たくもなかったが、雄二が返ってきたテスト用紙を、見せつけてくる。
赤点をギリギリ回避してるのは凄いが‥‥。お前は今まで、何をしてたんだ。